コロナ関連投稿集

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3月12日「妄想ヨブ記~WHOのパンデミック宣言を受けて」

1. 日本の地に、その名を与部(よぶ)信一という人がいた。この人は誠実で直ぐな心を持ち、神を恐れて、悪から遠ざかっていた。

2. 彼には一人の娘と一人の息子がいた。娘はこの春に名門大学を卒業し、第一希望の企業への就職が内定していた。高校三年生の息子は野球強豪校の主将で、春の甲子園出場に向けて練習に明け暮れていた。

3. 日曜日には、家族全員で礼拝をささげ、水曜は祈祷会に出席し、神の働きの前進を祈り、金曜はゴスペルクワイヤーで、土曜日は教会の聖歌隊で、賛美をささげていた。与部はいつもこのようにしていた。

4. ある日、神の子らがやって来て、主の前に立った。サタンもやって来て、彼らの中にいた。

5. 主はサタンに言われた。「おまえはわたしのしもべ与部に心を留めたか。彼のように誠実で直ぐな心を持ち、神を恐れて悪から遠ざかっている者は、地上には一人もいない。」

6. サタンは主に答えた。「与部は理由もなく神を恐れているのでしょうか。あなたが手を伸ばして、彼から交わりと賛美を奪い、娘と息子に災いを与えてみてください。彼はきっと、面と向かってあなたを呪うに違いありません。

7. 主はサタンに仰せられた「では、そうしよう。」そこで、サタンは主の前から出て行った。

8. ある日、家族でテレビを見ていると新たな感染症の危険が報じられた。

9. やがて、それは日本の教会にも影響を与え、与部一家の集う教会の礼拝はネット配信となり、礼拝以外の集会はすべて中止となった。愛する兄弟姉妹との交わりを持てないことは与部を苦しめた。

10. その後、準備してきたブラックゴスペルのライブも聖歌隊の発表会も延期を余儀なくされた。仲間と共に神を賛美できないことは与部を苦しめた。

11. ある日、帰宅すると娘が部屋で泣いているではないか。就職するはずの企業から内定取り消しの通知が来たというのだ。急激な業績不振のため新規採用の余裕がなくなったとのこと。いつもは快活な娘が、夕食時になっても部屋から出てこないことは、与部を苦しめた。

12. 次の日、帰宅すると息子が、バットを振り回して暴れ、部屋中のものを破壊していた。春の選抜が中止となり、気持ちのやり場がなくなったのだ。人望厚く、品行方正な息子の荒れようは与部を苦しめた。

13. このとき、与部は、地にひれ伏して礼拝し、

14. そして、言った。
「主は与え、主は取られる。主の御名はほむべきかな」

15. 与部はこれらすべてのことにおいても、罪に陥ることなく、神に対して愚痴をこぼすようなことはしなかった。

16. 彼は「信一」という名前の通り、唯一の方を信頼し続けた。

※パンデミックが宣言された今、私たちの信仰が試されている。