次世代育成と世代間問題
次世代育成と世代間問題
- 「老人は夢を見、青年は幻を現実に①~ペットボトル茶の始まり」
- 「老人は夢を見、青年は幻を現実に②~教会備品としてのドローン」
- 「老人は夢を見、青年は幻を現実に③~タイトルそのまんまの事例」
- 「老人は夢を見、青年は幻を現実に④~今の視点からの再解釈」
- 「老人は夢を見、青年は幻を現実に⑤~仕分けでなく発展的継承」
- 「老人は夢を見、青年は幻を現実に⑥~老人が夢を見るために」
- 「老人は夢を見ず、青年は幻を失う①~夢を見ない高齢者たち」
- 「老人は夢を見ず、青年は幻を失う②~残像を見る高齢者たち」
- 「老人は夢を見ず、青年は幻を失う③~残像継続強制による幻の喪失」
- 「老人は夢を見ず、青年は幻を失う④~脱皮を拒否で死に向かうヘビ」
- 「巨泉さんの名言に触れて」
- 「若者に教会に来て欲しいと願うその動機は?」
- 「意味も目的も求めない世代を前にして」
- 「天動説としての世代間ギャップ問題」
- 「パウロ世代とテモテ世代の相互理解のために」
- 「若者に教会に来て欲しいなら、瑛人の香水を聴け!(前編)」
- 「若者に教会に来て欲しいなら、瑛人の香水を聴け!(後編)」
「老人は夢を見、青年は幻を現実に②~教会備品としてのドローン」
〈教会にドローン?〉
今日は、教会内での事例のご紹介。何年か前、ある教会で奉仕の際、主任牧師が教会をご案内してくださいました。一つの部屋に入った私は、「あるもの」を見て、目を疑いました。そして、お尋ねしました。
「これ、ドローンですよね。教会の備品なのですか?」
牧師の説明によれば、青年たちが、伝道のためにドローンで撮影した動画を制作したいと願ったのだとか。その説明を受けて、私はこう問いかけました。
「よく役員会がOKしましたね」
これまた牧師の説明によれば、役員は「よくわからないけど、賛成した」とのこと。この「よくわからないけど」が大切なのです。理解できないのに了承しているのです。いいえ、理解できなくても信頼して託したのです。
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〈背景にあるコアポリシー〉
実はその教会には、「役員は、青年たちの伝道活動を応援するもの」というコアポリシーがあるのです。それに支えられ、これまでも青年宣教の実を結んできました。こうした役員教育を実践し、伝道に燃える青年たちに育てた牧師には、頭が下がります。
教会では、実際に、若者を対象とした伝道目的の動画を視聴。ドローンで撮影された動画には、びっくり。極めて高いクオリティーとそれに見合うメッセージ性に愕然。これなら、教会の青年たちは、家族、知人、友人に自信をもって紹介できます。そして、それ自体が伝道の第一歩になると実感しました。対費用効果を考えても、ドローンの購入は極めて妥当だと納得。
「ドローンで撮影した動画で伝道?」きっと年長の役員は理解できないでしょう。特に高齢者にとっては「目が見たことのないもの」「耳の聞いたことのないもの」「人の心に思い浮かんだことのないもの」でしょう。
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〈次世代に託す必要性〉
年齢を重ねれば、経験値も知恵も蓄積されます。普遍的なこと、通常のことについては、十分な判断力もお持ちでしょう。しかし、若い世代については、正しい現状理解ができず、自らの青年時代の残像を、現代にまで、持ち込みがち。
そのため、若い世代についてと前例のないことについては判断が困難に。昨日のペットボトル茶の事例においても、重役たちは、若い世代の消費傾向と潜在的ニーズを理解しておらず、将来のマーケットを見逃すところだったのです。
教会においても「理解、納得して承認」ができれば、理想的。それを目指しての対話や説明は必要。しかし、場合と事柄によっては、「理解できないけど、若者を信頼して任せてみる」という姿勢も、大切かと思います。なぜなら、「目が見たことのないもの」「耳の聞いたことのないもの」「人の心に思い浮かんだことのないもの」という前例なき神の業は、時に、そこから始まるからです。
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〈本当に避けるべきリスクは?〉
年長者や役員は、「やらせてみての失敗」を避けながら、「やらせないことがもたらす失敗」を確実に積み上げてはならないでしょう。「やらせてみての失敗」は、フォローもカバーもできます。失敗を通じて、青年たちが成長することも期待できます。テレビ番組「はじめてのおつかい」のようなものでしょう。
しかし、後者の失敗が生み出すのは、青年層の無気力、居場所のなさ、帰属意識の低下、教会への不信感など。結果的には教会生活からの離脱につながることばかり。「やらせないことがもたらす失敗」は確実に、青年層を衰退させます。
そうです。「やらせてみない」というリスク回避が恒常的となると、それは、教会に「確実かつ深刻なリスク」をもたらします。その代表は、少子高齢化による教会の存続危機です。と言いますか、既にそうなっている教会も少なくないのかもしれません。そこで、考えたいのです。本当に避けるべきリスクはどちらでしょう?
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〈まとめ〉
聖書は、神様の業が時に、想定外の方法で、ありえないかたちで、思いもしない展開をもってなされていくことを示しています。そのような神様の業がどの世代から起こってくるでしょう。それは、時に、前例踏襲、現状肯定、予定調和、安定志向体質となりがちな年配者ではなく、そうなっていない若い世代からでしょう。
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青年を信頼し、理解できなくても、幻の実現を応援する高齢者。
その期待と信頼に支えられ、幻を実現し、成長していく青年。
タイトル通り「老人は夢を見、青年は幻を現実に」していく教会。
教会備品のドローンは、そのことを象徴するかのようでした。
