水谷潔の新しき地に踏み出だす

　朝令暮改です。昨日に続いて理由を記すつもりでいたのですが、分かりやすい事例を示す方が有効だと思い直しました。以下に代表的な事例を記します。、

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女性信徒「先生の説教、長すぎると思います。それに、もう少し分かりやすく話していただけないかしら」

牧師夫人「ありがとうございます。牧師（夫、主人）に伝えさせていただきます」

女性信徒「あら、嫌だ、伝えるなんて」

牧師夫人「匿名で伝えますから、ご安心ください」

女性信徒「伝えて欲しいなんて言ってないでしょ。絶対、伝えないでくださいよ。まるで、私が陰で悪口言っているみたいだから」

牧師夫人「そうですか・・・。では、伝えないことにします」

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〈この発言の本質は？〉

　これは、男性牧師についての不満と要求を牧師夫人に伝えながら、男性牧師に伝わることを禁じています。牧師夫人が仲介をせず、牧師夫人までに留めることを希望しているわけです。

　これは、「愛をもって真理を語る」（エペソ4:15）とは、正反対。まずは、動機が「愛」ではありません。その動機は、牧師の説教改善や会衆や教会にとっての益を願う「他者愛」ではなく、自分の不満、不快を解消したいとの「自己愛」「欲」でしょう。また、匿名であっても伝わらないことを願うのは、「自己保身」あるいは「自己感情安定」のためでしょう。根底にあるのは、「極度の自己中心」です。

　また、「真理」を語っていません。牧師の説教が長く分かりにくいのは「事実」かもしれません。しかし、この女性信徒が伝えようとしているのは、その事実ではなく、不快、不満、怒りなど「事実から生ずる自己感情」でしょう。

　というわけで、これは、「愛をもって真理を語り」ではなく、「欲をもって自己感情を伝え」だと思うのです。表面上は正当性のある言葉ですが、本質的には自己中心で、無思慮で、無責任な言葉、牧師夫人を不当に苦しめる言葉だと私は思います。

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〈牧師夫人にとっては？〉

　牧師である夫の不満と要求を聞かされ、なおかつ、それを夫に伝えることを禁じされた牧師夫人の身にもなってください。

　牧師夫人は、どう考え、どう受け止めるでしょう。発言の根底にある愛とは正反対の「欲」「甘え」「依存」「自己中心」などを感じ取り、牧師夫人はダメージを受けるでしょう。自分が、「自己感情のゴミ箱」のように扱われたことで傷つくでしょう。

　この女性信徒に「悪意」はないでしょうが、「残酷なまでに、無思慮で愛を欠いて」います。牧師夫人の中には、こうした発言を受け流す方も、ストレスにならぬよう対処できる方もいらっしゃるでしょう。

　でも、人によっては、「いじめ」「人格否定」と受け止めてもおかしくないと私は思います。なおかつ、受けたダメージや傷を夫と共有できず、一人で抱えなくてはなりません。牧師夫人を「孤独な苦痛」に追い詰めます。

　特定の女性信徒から、繰り返しこうしたことがあると、ボディーブローを受け続けるようにダメージが蓄積します。牧師夫人が、心を病むこと、内面の課題が身体に病となって現れるのは当然の結果でしょう。

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〈まとめとアピール〉

　悪意はなくても、男性牧師に直接伝えないことが、牧師夫人を感情のゴミ箱扱いしてしまうことがあります。人によっては、いじめや人格否定に相当することを覚えて欲しいです。その根底には、牧師夫人はそうした立場、役割なのだとの間違った認識があるように感じています。

　牧師夫人の皆様には、今回の投稿が、自らのストレスや受けてきた傷を、明確化、言語化していく助けになれば、癒しや克服につながればと願っています。男性牧師の皆様には妻の労苦をより深く理解することの一助になれば、感謝。そして、今回紹介した事例について、身に覚えのある皆様は、自らを神様の前に省みていただきたいです。