水谷潔の新しき地に踏み出だす

　二回目は、城南電機の分かりやす過ぎる失敗要因。なぜ、城南電機は二代目社長就任後、たった一か月で廃業に至ったのか？一番の理由は、創業者の宮城社長が生前に責任委譲をして、息子さんに、引継ぎをしなかったこと。これは、社員たちとその家族を考えると、経営者としての責任が問われるでしょう。

　二つ目には、成功モデルを脱し切れず、自己充足感に浸りきっていたこと。これは、私なりの推測ですが、適切な時期で責任委譲をせず、最後まで、あり方を変えず、責任放棄に至った心理的要因は、そこにあると思います。個人事業的な成功モデルが機能し続けたために、個人としての自己充足感を手放すことができなくなり、それが責任委譲の先延ばしにつながったように想像するのです。

　三つ目に業績が極端に個人的才能に依存していたこと。宮路社長と言えば、いつも多額の現金を持ち歩いていたことが有名。それで、安く家電製品を仕入ることができていたようです。実は、一番の強みであった仕入れ業務は、形態としては個人事業であったそうです。息子さんに引継ぎをしていなかったので、初代社長の死後は、これまでのように仕入れができないことに。これが致命的であったようです。

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〈教会も同様かと〉

　分かりやす過ぎる衰退要因は、教会も決して例外ではないでしょう。教会であれ、教会外であれ、すべての組織は、ある程度普遍的な原則を持っています。すべての組織には、人間の肉性や罪の力が働きます。高齢者に特徴的な執着心や思考の硬直化も、組織の利益より権力者の意向に沿うことが優先されることなどは、その代表でしょう。

　そのことによって組織が衰退したり、腐敗したりすることを経験によって学習してきた人類は、組織の持続を願って、特に制度面やシステム面の改善によって克服努力を重ねてきました。このことについてもキリスト教会と同様でしょう。

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〈普遍的な共通点〉

過去の成功モデルと自己充足感に捉われ

適切な時期で責任委譲をしなくなること

結果として責任放棄となり信徒が苦しむこと

牧師個人に教会の働きが依存していること

なのに、適切な引継ぎ、移行措置をしないこと

前任者同様を要求され後任牧師が苦しむこと

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　これらのことは、以前から起こってきたことすが、今後は、さらなる多発が予想されます。教職者の高齢化を受けて、牧師の世代交代は、より困難となっており、「教会の城南電機化」がより進行するのではないかと危惧しています。

　今回の拙い論考が、自己客観視の助けになればと願っています。課題を感じながら、言語化できずにいた方のお手伝いができるなら、感謝なことです。