牧師、牧師夫人、牧師交代

牧師、牧師夫人、牧師交代

「兼業牧師について考える⑧~背景にある牧師数激減と教会数維持」

〈基本路線としての教会数の維持〉
 兼業問題の解決方法は、理論上は簡単なことです。教会を統廃合すればよいのです。一教会あたりの会員数は増えて、牧師の経済は保証され、牧師は一教会の牧会に専念できるわけです。しかし、地理的理由や信徒心情などもあり、同じ団体内の教会でも統廃合自体が簡単ではないのが現実。それなら、近隣で信仰理解の近いが教会が、所属団体を超えて合併すればよいのですが、これはさらに困難。
 そうなれば、「可能な限りの教会数の維持」が基本路線に。それは自動的に「一教会あたり会員数の減少」を意味し、「牧師にとっての経済危機」をもたらします。これで、牧師数が教会数と同数であれば、多くの牧師は、一教会を牧会しながら、兼業化していくしかありません。
〈兼業か?兼牧か?〉
 しかし、もう一つの大きな要因があります。それは牧師の超高齢化と既に起こっている牧師不足。ですから、一牧師が、複数教会の責任を持つことで、十分な給与を得て、牧会伝道に専念するという道があります。つまり、「兼牧」すれば、「兼業」は避けられるわけです。
 近年は、時に無牧教会や後継者を求める教会から牧師紹介を依頼されることも。その中で、判明した事実があります。それは、「兼牧を希望する牧師が意外にも多いこと」。専業が続けられない厳しい経済状況となる中で、「兼業牧師」よりも「兼牧牧師」となることを希望する牧師が予想外に多いのです。
〈兼牧希望牧師の思いを想像〉
 多くの牧師たちは安定した雇用や多額の給与など期待せず、献身をしています。しかし、生活保障がなければ、フルタイム献身して、応答した召しを十分に果たすことは困難です。
 牧師が兼業化するのは、直接的には経済的必要が理由だとしても、本質的な理由は、召しに応答して本来の働きを継続するためなのです。また、中高年になった男性牧師が、一般の仕事をするのも、怖れや抵抗があることでしょう。同じ収入を別に得るのなら、伝道牧会と考えるのは、自然でしょう。牧師が兼業を避けて、兼牧を希望するのも、こうした理由からでしょう。