教会形成、教会教育

教会形成、教会教育

「虎は死して皮を、牧師は辞して役員を残す②~見えにくい要素」

〈名監督の背後に名参謀〉
 プロ野球の世界では、名監督の背後には、名参謀あり。落合監督には、名参謀とされる森繁和、星野監督には 頭脳とされる島野育夫、V9を達成した川上監督にはドジャース野球を導入した牧野茂がいました。
 牧師と役員の関係も似ています。奉仕先で牧会現場に触れると見えてきます。小さな群れを大きな教会へと導いた牧師には、共に労してきた献身的かつ有能な役員がいます。優れた教会形成で尊敬を集める牧師には、共に教会を建て上げてきた成熟した役員がいます。成熟した役員なしに、牧師単独で実を結ぶことは、一般に思われているより、はるかに困難だと思われます。
 その役員は前任者が育て、後任者が花開かせるパターンもあれば、開拓者や現任者と共に成長してきたパターンも。育てる必要もなく、個人的に成熟している役員も時にはいます。年齢性別に関係なく、そうした方は役員に選出されるもの。
〈そのことを証明する事例〉
 そのことを示す一つの事例をご紹介。ある牧師が一つの教会に就任するとその目に見えて礼拝人数が増加。周囲からは、健全で優れた教会成長と評価。その後、転任して、別の教会へと転任。周囲の期待と予想に反して、その教会では同じことが起こらなかったそうです。なぜそうなのかを問われた牧師は「役員会の違い」と答えたとのこと。
 私はこの牧師は、健全で優れた方だと思います。二つ目の教会が同様にならなかったことは、この牧師が、役員を支配し、手足のように用いて、教会を量的に大きくするタイプではないことを意味します。予想するに、後者の役員会は未熟であったか、教育をを好まない体質だったのでしょう。
〈なぜ、このことが見えないのか?〉
 読者の方の多くは、こうした事例をあまりご存じないと思います。役員会の成熟度によって結実の違いが見えてくる事例は、珍しいのではないでしょうか?それはなぜでしょう?
 考えてみれば、理由は簡単。成熟した役員と共に実を結ぶ牧師は、転任しないからです。事例自体が極めて少ないのは当然。信頼関係で結ばれ共に労して実を結ぶことになれば、牧師も役員も信徒も、あまり転任を望まないでしょう。ですから、そうした牧師は20年以上、時には30年から40年も同じ教会に留まります。
 その牧師が晩年になる前に、転任すると仮定しましょう。私は、予想します。次の赴任先で同じように実を結ぶかと言えば、かなり役員会の成熟度に依存するだろうと。
〈現役員と現任牧師の皆様へ〉
 今回は見えることも、評価されることも少ない成熟した役員の働きを紹介しました。牧師ばかりがスポットライトを浴びがちですが、役員の成熟度はかなり重要なファクターです。
 教会役員の皆さん!ちゃんと、見ている人は見ています。正しく評価している人もいます。何より、神様は牧師に負けず劣らずあなたの尊い労と結実を喜んでおられることでしょう。主の喜びを自らの喜びとし、成熟を目指し、実を結ばれますように。そして、牧師の皆様には、「牧師は辞して役員を残す」を胸に、次の世代への責任を果たしていただければと願っています。