高齢者のために

「高齢キリスト者のための十戒③~第五戒から第七戒」

 〈第5戒〉
 あなたは過去の自慢話をしてはならない。武勇伝を語ってはならない。その多くは有効期限が切れており、下の世代には役立つことがなく、参考にもならないからである。
 逆に、それらは、不快さや嫌悪感を与えかねないからである。自分の残念な現状に対する隠蔽行為と解釈されるからである。間違ってもマウントを取ろうとしてはならない。あなたが下の世代からの尊敬を損なわないためである。
 むしろ、失敗談、挫折、後悔、悔い改めを語りなさい。その多くは普遍性を持ち、下の世代の役に立ち、あなたも尊敬を受けるからである。
 

〈第6戒〉

 あなたは「同じことを同じようにすること」を次の世代に強いてはならない。その多くは信仰の本質というより、「信仰に由来する文化」や「働きの方法論」に過ぎないからである。
 それらの継承を、信仰継承と取り違えてはならない。あなたは、継承すべき「信仰本体」と必ずしもすべきではない「派生事項」や「付属物」を賢く選別し、継承しなくてはならない。そうでなければ、若い世代は継承されるものに意味と有効性を見いだせず、教会生活が苦痛となり、やがては教会を離れかねないからである。
 まず、あなた自身が、同じことを同じようにすることに信仰のアイデンティティーを置いていないか、自らを省みなければならない。その上で、継承すべきは信仰であることを自覚し、それに付随する文化、形式、方法論は検討、選別対象としなければならない。教会が若者を失うことなく、しかも、若者たちが本質に沿った歩みをするためである。
 
〈第7戒〉
 あなたは無用な口出しをしてはならない。とりわけ、担当者や責任者を差し置いて、それをしてはならない。あなたは、神による権威の委託や教会の秩序を重んじなければならない。
 教会内で自己願望を言葉にし、自分の影響力を働かせ、自己効力感を得てはならない。教会を自己効力感獲得の場としてはならない。
 むしろ、分をわきまえて、発言する前に祈りなさい。そして、本当に必要なことだけを愛と責任をもって教会のために語りなさい。あなたの豊かな経験と知恵は、教会においては、秩序と節度の中で、大きく用いられ、実を結ぶことを心得なければならない。