水谷潔の新しき地に踏み出だす

　最近、FBで30代の知人牧師が記す「ぼやき」を読んで心を痛めた。詳細は不明だが、ネットで会議をしていた際の牧師の様子を、その投稿はこう伝えている。

 

・すべてはないが、マウント合戦、自慢話、

・人の話を遮っての否定的発言

・本筋でない議論に費やされる多大な時間

・会議を進めているのが、先輩のベテラン牧師だという徒労感

 

青年牧師は、以下の禁止項目を守れば改善すると指摘

・マウント禁止

・自慢禁止

・人の話を遮ること禁止

・人の意見を否定することの禁止

・その場にいない人物の悪口禁止

 

　３０代の青年牧師の目には、（一部でしょうが）こうした先輩牧師の姿はどう映るのだろう。類似の話は、あちらこちらで耳にする。一部のベテラン牧師が正常な交わりを破壊するようだ。交わりの双方向性を破壊し、一方的な「老年の主張」や「ありがたくもないご高説」となると聞く。若手牧師は拝聴しながら苦悩。その結果、別の交わりを検討することも。

　実際に「若手限定牧師会」や公とは別の「裏牧師会」の存在もお聞きする。そこでは、「本音」「弱音」「ヘタレ」が語られ、受け止められ、深い人格的な交わりの中、癒しと慰めがあると聞く。それは、「傷の舐めあい」とは、全く異質の「主にある真実な交わり」。

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〈他人事でなく当事者として〉

　私がその投稿に心を痛めた理由は他にもある。実は、これらの課題、自分にも、かなり身に覚えがあるのだ。

 

・無意識に、相手に対してマウントを取っている自分に気が付く

・後で振り返ると自慢話をしていたと分かり、恥じ入る

・人の話を最後まで聞かず遮り、意見を否定することさえある

 

　自分もヤバいのだ。ほとんどが無意識で後になって気が付く。これぞ、高齢者独自の拭い難い肉性だろう。牧師は職務上、教え、指導し、語ることが多いので、「人の話を聞く」という正常なコミュニケーションの基本が崩壊しがち。高齢になると、それがさらに先鋭化。正常で人格的な交わりが不能に。これは、牧師病の一症状だろう。

　今や、そんな自分を戒めてくれるのは、妻と娘、そして、毎週訪ねる一人暮らしの母の３人だけ。同労者や男性たちは誰も叱ってくれない。三世代にわたる女性たちがいなければ、自分は、自覚症状も悔い改めもなく、上に記した牧師と同じことをしていただろう。

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〈普遍的な高齢者の課題として〉

　旧約聖書は、信仰リーダーの晩年の過ちを記録し、新約聖書の書簡は、ベテランならではの肉性を指摘し、戒めている。しかし、儒教的な文化の影響もあるのだろう。日本の教会では、高齢者の過ちやベテランの肉性が、戒められることなく、放置されがち。そのことが、教会全体に、特に下の世代に、多大な苦しみをもたらしていることは珍しくない。

　もはや、それは、他者批判ではない。自分も気が付いたら、「叱ってもらえないベテラン」、「誰からも戒められない立場」となっているようだ。自分が３０代の頃、「ああは、なりたくない」と思っていた高齢牧師に自分はなりかねない。「人と正常な交わりができない人間に、成熟とか聖化とか言われなくないわ！」と心の中でさばいていたその批判対象に自分が似てきた。聖書が示し、戒めているところの「高齢者の肉性」「ベテランの罪深さ」の当事者に自分がなりつつある。

　年齢を重ねる度に、その肉性と罪の拭い難さを実感している。しかし、何とか神の視点から自らを客観視し、聖霊の助けと３世代の女性たちのご指導を受けながら、克服に向かいたい。少なくとも、「進行」を遅らせ、「重症化」を防ぎたい。牧師の場合、職務の特性上、それが、先鋭化しやすく、立場の故に、その多くの人々に苦痛をもたらすからだ。

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〈キリスト教会の将来を覚えて〉

　日本のキリスト教会の将来を考える時、こうしたことが放置されている現状を悲しく思う。「高齢牧師あるある」として、周囲が寛容に受け止めて忍耐することが「美徳」とされてしまっていいのだろうか？と悩む。

 

・マウント禁止

・自慢禁止

・人の話を遮ること禁止

・人の意見を否定することの禁止

・その場にいない人物の悪口禁止

　まずは、交わりにおいて、最低限これらの禁止事項を守るとしよう。いや、こんな基本中の基本さえ、守れていないことの悔い改めから始めなくては。具体的、かつ有効な気づきを与えてくれたた３０代牧師には、感謝するばかり。

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　今日は、「ベテラン牧師、あるあるの肉性と罪深さ」とタイトルを付けた。これには、少しばかりの勇気が必要だった。３０代の青年牧師の葛藤と、高齢者にさしかかった自らの肉性と罪深さに心を痛めながら、正直な心の内を記してみた。読者の立場や年齢層は多様だろうが、この投稿が何かの参考になれば、感謝。