教会形成、教会教育

教会形成、教会教育

「即効性の誘惑と罠(下)~カルト化要因の一つとして」

〈想起したのはある悲劇〉
昨日は、教会形成についての優れた考察を紹介
想起したのは、10年程前に出会った一牧師
彼は、一信仰リーダーとヴィジョンを共有し労していた
それは、ある弟子訓練プログラムの日本での普及
彼によれば、リーダーは常々、言っていたそうだ
弟子訓練の実りが見えるには20年かかると
短期での結実を期待してはならないと
短期結実願望は弟子訓練に反すると
 
しかし、事態は予想外に一転する、
リーダーは短期間での結実を目指すと宣言
理由は、日本での普及のために必要だから
それがないと日本の教会が評価しないから
誠実な彼は、この変節に同意できず
共に歩んできたリーダーと袂を分かつ
自らブレーキとハンドルを捨てて以降
そのリーダーは逸脱し、暴走したのだろう
〈虚構の結実と現実の破綻〉
短期間で目に見える結果を出すために
リーダーがとった手段は極端な権威主義
教会は急速にカルト化したと思われる
その結果、短期間で教会は大規模に
 
期待通り、弟子訓練プログラムは注目を受け
教派を超えて、高く評価され、日本で普及
「カルトによる短期での教会肥大」は
「弟子訓練による教会成長」と取り違えられた
 
「事実誤認に基づく評価」は長くは続かない
やがて起こってきたのは、疑問の声や心配な噂
スキャンダルを機に、カルト化の実態は明らかに
訴訟にまで発展し、一般雑誌でも報道されることに
 
それ以来「弟子訓練」との文言自体が禁句化
カルト、権威主義を想起される言葉に変質
事件への心情的反動か、誤解を恐れてか
健全な信仰的訓練さえ、実践困難な雰囲気も
〈過去の悲劇に学ぶ〉
教育において最も即効性の高い手段は
体罰という苦痛と恐怖によるコントロール
教会の教勢拡大において、それにあたるのは
カルトという権威と思考停止によるコントロール
 
あの事件には、分岐点があったのだろう
それは、昨日紹介した考察のとおり
証言によれば、即効性の誘惑に負けたこと
そこからカルトという手段の選択に
 
教会が不健全化する要因の代表は
5年で達成可能なことの過大評価と
20年で達成できることの過小評価
牧師たち信仰リーダーを襲う即効性の誘惑
それに屈するなら、教会は不健全に
カルト化はその最悪の現われ
 
私たちは、あの事件から学んだろうか?
同じ過ちは繰り返されていないだろうか?
教会のカルト化という面においても
「即効性の誘惑と罠」を覚えて
過去の失敗の数々を風化させず
今と未来の教会形成に活かしたいもの