教会形成、教会教育

教会形成、教会教育

「前例踏襲から、新たな前例の形成へ①~女性のライフスタイル」

〈女性のライフスタイルの激変〉
1980年代頃の記憶をたどると
社会で活躍するクリスチャン女性たちも
クリスチャン男性と結婚し、退職し、専業主婦に
平日は教会に集い祈りと奉仕で教会を支え
出産して子育てに励み、信仰継承を果たす
それが信仰的で標準とされたような記憶が
今や、これは「死んだ前例」に
女性の約二割は、生涯非婚。
結婚の三分の一が離婚に。
6組に1組の夫婦は不妊。
結婚して、離婚せず、子どもを産み育てる女性を
計算してみると、なんと全体の44.4%
標準的とされた女性のライフスタイルは半数以下に。
しかも、既婚者女性の多くは、専業主婦ではない。
フルタイムで生涯働く女性も激増。
クリスチャンとの結婚を願う女性は極めて結婚困難な現状
その結果、近年、激増しているのは
30代後半以降の独身女性と
フルタイムで働く既婚者女性
〈どうする?婦人会〉
 そうなると次に「死んだ前例」となりかねないのは、「婦人会」という交わりや奉仕の枠組み。平日に女性祈祷会を持つことができても、比較的若い世代の既婚者女性は出席不可能に。既婚者女性の平日の奉仕に支えられてきた教会形成も不成立。組織を変革しなければ、機能不全は必然。場合によってはその負担が、牧師夫妻へとしわ寄せとなり、牧師夫妻が疲弊状態や燃えつきに。
 機能していれば、前例踏襲すればいいのです。若い世代が集い、世代交代がされているなら、継続すればいいのです。それは意義深く、実を結ぶ交わりとなるでしょう。
 問題は、そうでないのに、継続しようとすること。つまり「死んだ前例の踏襲」です。平日のみで集まりを持ちながら「若いミセスや母親が参加しないのよ」と不満げに訴える婦人会メンバーの声を聞くことがあります。失礼ながら、心の中で「それはないやろー」「下の世代のこと見てないの?」「それって、実質上、排除してるよね」と思ってしまうわけです。
 ですから、この激変が見えている方々は、女性たちの世代間格差を考慮して、変革するわけです。教会や団体によっては、女性の交わりを世代別にすることも。交わりを持つ時間を、平日から日曜の午後などに移行するケースも。日時や組織だけでなく、内容も多忙な参加者のニーズに対応し、短く、親密なものに改善することも。
〈新たな前例の形成を紹介〉
 このシリーズの趣旨は、「死んだ前例の踏襲」から「新たな前例の形成へ」なので、新たな前例の形成のモデルとして一つの事例をご紹介。そもそも、近年の社会の急変を受けて、「壮年会」「婦人会」「青年会」という性別と年代と結婚で分けることが、地域や教会によっては、機能しなくなっている場合も。そのことを実感しながらも、「では、どうするか」「新しい枠組み」がないまま、継続しているケースも多いでしょう。
 そこで、豊かな実を結んでいる一教会の事例をご紹介。従来の枠組みが機能しないと判断したのでしょう。何年か前にそれを改革したとお聞きしています。では、どうしたかと言えば、何と!従来の「壮年会」「婦人会」「青年会」から「趣味・関心別の交わり」に移行したのだとか。
 想像するに、釣り、山登り、料理、アニメなどでしょう。性別、年代、結婚に関係なく共通の趣味や関心を共通項にして集まるのでしょう。きっと、共通の趣味でつながりを持ち、そこから、信仰的で深い交わりに向かっていくのでしょう。これから、未信者も入りやすいのではないでしょうか。
 私はほぼ毎年、この教会にお招きいただき、親しい交わりがあるので、実感しているのです。「死んだ前例を死んだと判断して、変革できる教会」が実を結ぶのです。いいえ、実を結ぶ教会は、実を結ぶために必要となれば、「死んだ前例にお葬式を上げられる」のです。
 「婦人会」「壮年会」「青年会」にお葬式を出した教会って、すごいと思いませんか?決断した牧師と役員、すごくありませんか?それに理解賛同し、実行に移した教会員たちもすごいですよね。
〈まとめ〉
 教会が実を結び続けるためには、社会の急激な変化に対応して自己変革が必要となります。「続けるため」にこそ、「やめなければならないこと」があるはずです。「やめられないこと」が「続けられない」ことにつながっているケースも少なくないでしょう。
 「前例が既に死んでいる」と認識しながらも、それを踏襲せざるをえず、葛藤している読者の皆様に、こうした事例が、指針や参考になれば、感謝なことです。