水谷潔の新しき地に踏み出だす : 「『無関心なのに囲い込みはする』からの悔い改め」

信仰継承、宗教二世問題

　「無関心なのに、囲い込みはする」という言葉には、自らを省みずにはおらない。そして、思い出されるのは、これまで、中高生、大学生、青年たちからお聞きしてきた声。若い世代が自立し、生き生きとしている教会・団体と、若い世代が次々と教会から姿を消していく教会・団体には、明確な違いがあるように観察してきた。

　それは、親たちや大人たちのありよう。あるいは、それと密接な関係にある教会の文化や伝統、そして体質。それは、部活や礼拝プログラムや賛美の選曲以上に決定的要素だと感じている。

　そこで、「無関心なのに囲い込みはする」に触発されて、若い世代が教会から姿を消していく要因について、私なりに思いついたものを以下に列記してみる。

無関心なのに、囲い込みはする

愛していないのに、いてほしいと願う

教会存続には強い執着を見せるが、次世代の教会離れには諦めが早い

教会存続は願うが、教会の建て上げは、次世代に担わせない

重要な役職と働きは握りしめるが、負担となるものだけを押し付け継承させる

前例のない試みには否定的だが、結実のない従来からの働きには肯定的で放置、継続

伝統文化保存を願うが、伝統文化の発展は願わない

前例踏襲を要求するが、新たな恵みに踏み出すことは好まない

課題に気づいてはいるが、それについての問題提起はさせない。

問題提起がされても平気で聞き流す。

自らの存命中の現状維持を願うが、次世代がその犠牲者になることには考えが及ばない

自分世代のしたいことをさせようとするが、次世代のしたいことはさせない

指示・命令、ダメだしはするが、寄り添い、語り合い、支えることはない

権威をもって指導・教育はするが、その結果責任は取らない。

あるいは、権威を盾に責任を問わないよう指導する。

次世代が教会に貢献することは願うが、教会が次世代に貢献することは考えない

次世代を教えようとするが、次世代から学ぶ姿勢がない

様々な規範や行動を命ずるが、その意味、目的、根拠を問うと誤魔化すか逆切れする

信仰的成熟を要求するが、自らの成熟度については不問、または、未成熟の隠蔽

模範的なクリスチャンを要求するが、自らは模範を示そうとしない

万事、自分の願う歩みを要求し、神様ご自身が次世代に願う歩みは考えない

結局、次世代を愛する目的・対象とはせず、利用する手段としている

言い換えるなら「人格」でなく、「戦力」として見ている

その動機は「他者愛」ではなく、「自己愛」すなわち「欲」である。

愛を語り、愛を命じるが、自らは、愛に歩んでいない

しかも、その自覚がない、指摘されても認められない

　こうして列挙してみると、いよいよ探られる。身に覚えがあることは悲しいが、幸いでもある。自覚があれば、これまでの歩みを、悔い改められるから。これから、悔い改めの実を結ぶことができるから。

　自戒を込めて思う。親は子どもの目に、ベテラン世代は下の世代の目に、自分がどう映っているかを、一度、想像してみた方がよいだろう。きっと、それは神様の視点から自らを見つめ直すことにもつながるだろうから。