水谷潔の新しき地に踏み出だす : 「夢と幻、美しく曖昧で時に無責任⑥～カルトリーダーの無責任」

タブー視せず向き合う課題

「夢と幻、美しく曖昧で時に無責任⑥～カルトリーダーの無責任」

〈ヴィジョン達成手段としてのカルト〉

　夢と幻についての数々の無責任の中でも、最悪なのは、カルト化です。断言したヴィジョンを達成するために、信仰リーダーがカルト的手法を用います。

　「自称・聖なる目的」が「非聖書的手段」を正当化するのです。最初からカルトなのではなく、無理なヴィジョンや強引な目標設定の達成のために、「悪魔の手段」に手を染めてしまうのです。

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　具体的には、主体的判断を奪っての支配、人権侵害的な献身者・信徒の利用などによって、短期間でのヴィジョン達成を目指します。カルト化した教会の事例を見ていくと、背後には、リーダーの肉的な「夢」や「幻」が見えてくることが多いです。

　例えば、「礼拝者数〇〇名」「１０年以内に、枝教会数〇〇」など、具体的な教勢拡大を目指すヴィジョンが掲げられます。これは、営業ノルマ的となり、それを達成する強い圧力があり、かなり強引な方法での活動もあるようです。

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〈破綻と無責任性〉

　カルトは継続することもありますが、破綻を向かえることの方が多いように感じています。周知のように、牧師の異性問題か金銭問題が発覚し、それを転機に、破綻に向かいます。それまでも、ネットで知られ、噂されていたカルト性が公となり、破綻は決定的に。（カルトと牧師不祥事は基本的に別問題ですが、多くの場合、カルトには、不祥事が伴うと観察しています）

　しかし、破綻に至っても、カルト教会のリーダーの多くは、無責任です。まず、カルト化させた責任をあまり認めません。被害者に真摯な謝罪と償いをするという責任も果たしません。

　場合によっては、多額の退職金を得て退職するケース、依存的な信徒を連れて、新しい教会を立ち上げるケース、ほとぼりが冷めたら、悔い改めも怪しいまま、働きを再開するケースも。無責任にもほどがあります。

　個人的には、不祥事に至った牧師が、真実に悔い改めて、再出発したケースをいくつか知っています。しかし、同じ牧師不祥事でも、カルト牧師の場合は、真実な悔い改めが実を結び、信頼を回復しているケースはないのでは？と思っています。

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〈リーダーとフォロワーの両者で予防を〉

　カルトはリーダーだけが作り出すわけではないようです。リーダーとフォロワー両者が関係性の中で、作り出されるものだと私は考えています。信徒が目覚めさえすれば、ある程度は、カルト化を防ぐことも、教会を健全化することも、被害を最小限に抑えることも可能だと思っています。

　もし、集っている教会が、特定のヴィジョンを掲げながら、カルト化に向かっているなら、「リーダーは結果責任を負うことはない」との前提で、適切な判断をされることをお勧めします。