タブー視せず向き合う課題

タブー視せず向き合う課題

「一事から考える万事④~利用されてしまう大御所」

〈コメントへの感謝と今後のテーマ〉
 ここまで3回だけの連載ですが、極めて優れたコメントを多くいただき、感謝至極。投稿を読むより、コメントを読んだ方が有益ではないかと思えてきました。これまでのコメントは、投稿と併せてお読みになることをお勧めします。
 さて、前回までで「学位の件」は、おしまい。ここからは、「新使徒支援」の件です。大御所牧師が、不健全と思われる働きの後ろ盾となってしまったということですが、このことも「万事の中の一事」に過ぎません。今回は私なりに、その事実だけを中心に伝えます。それについての考察は(5)「大御所にモノ言えぬ体質」、(6)「老害指摘タブー、結果的放置」、(7)「愛の訓告者の不在」の3回で記す予定です
〈ビフォアAERAに起こったこと〉
 キリスト教会においては、信頼を得るために、著名牧師や大御所の名前や推薦文などを用いることがあります。こうした「お墨付き」自体は問題ないでしょう。しかし、不健全さを指摘されている団体が、「自らを健全と見せるために」するなら、それは問題です。いわば、大御所牧師を利用して、「お墨付き」をいただくことで自らを「権威づけ」し、「正当化」するわけです。
 2008年に一般誌「AERA」がいくつかの牧師不祥事を報道しました。それまでも、カルト問題や牧師不祥事は、クリスチャン新聞など福音派メディアも伝えるようになっていました。しかし、その認識は、教職者内でも不十分でした。とりわけ、ご高齢の大御所にとっては「最新の課題」であり、そのために認識不足の方々も少なくありませんでした。
 一方でカルト視される教会、牧師不祥事が伝えられていた教会は、大御所牧師を集会の講師として呼びました。そして「〇〇先生が、来て下さって・・・」と自らが健全であることをアピール。奉仕をされた大御所がその教会を褒めてお墨付きを与えることも。さらなるカルト被害者を生み出すことが危惧されました。
 残念なことに、その利用された先生方というのは、福音派を代表するような大御所の方々でした。当初は、かなりの数の方が、利用されました。周囲から忠告を受けたのでしょう。ほとんどの方については、すぐにそうしたことはなくなりました。しかし、一部には、忠告を受け止めず、「健全」「大丈夫」と言い張り、何度も奉仕依頼に応じた方も。
〈ポストAERA期も存続する「大御所ホイホイ」〉
 「ポストAERA」の時代になると、見識ある大御所はそうしたことがなくなりました。しかし、今も見識や判断力を欠くなら、同じように利用されてしまいます。
 私の知っているケースでは奉仕謝礼は、相場の数倍です。これには、賄賂性を感じます。当然、食事や宿泊などは過剰な接待。主催者と参加者たちからは褒めそやされます。気分最高でしょう。狡猾な場合は、大御所牧師の自尊心をくすぐり、見事なまでに取り入って、味方につけてしまいます。かくして、大御所は疑惑の教会、問題視される教会を賞賛。つまり、「誤ったお墨付き」を与えます。
 私はこれを「大御所ホイホイ」と呼びたいです。美味しい餌でおびき寄せ、ついには、抜け出せないようにするからです。ほとんどの場合は、忠告を受けてすぐに脱出。しかし、一部の大御所は、捕えられて利用され続けているように、私には思えます。
〈まずは現状認識から〉
 従来にないタイプの福音からの逸脱、不健全体質、新手のカルト、異端が次々と登場してきます。特にご高齢の大御所は自らがアップデートしないと、利用されかねません。今回の件は当人に責任がある一方で利用された面も否めないと感じています。著名牧師や大御所は、そうしたリスクを心得ているはずなのですが、そうでもない方もいれば、その警戒心を超えてうまく取り入る者がいるのも事実。
 「大御所を利用する者」もいれば、「利用されてしまう大御所」もいるのです。さらには次回に言及する「大御所にモノ言えぬ体質」が日本の教会にはあります。それ故に、「大御所ホイホイ」は今も存続するのです。そして、大御所が不健全な働きを支援してしまい、多くの被害者を生み出しているのです。
 今回は私なりの事実認識をお伝えしました。キリスト教会における「大御所ホイホイ」の存在をまず、お知らせしたかったのです。この現状を憂えて、正しい問題意識を持って欲しいのです。これについての背景や考察は、次回から3回にわたり、記す予定です。コメントはその点を考慮していただけると助かります。